BLACK BIRD
9/6(日・楽日)13:00開演
シアタードラマシティ
◆キャスト◆
レイ/内野聖陽
ウーナ/伊藤歩
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内野ファン歴――ふたりっ子から数えると10年以上になるのですが、舞台観賞まで行くレベルという意味で――いまだ10年にも至らぬ私でございますが、今年ようやくストレートプレイ初体験の機会がやってまいりました。
去年の秋冬は個人的にとても忙しく(家庭内イベントが目白押し)、その忙しい時期に大阪公演があった「私生活」は見られませんでした。今年こそはストレートプレイ初体験を! と願っていたところへ、何だかとってもダークなビジュアル、ダークな設定らしきものがチラチラと……
梅芸よりだいぶ狭いドラマシティーだと言うので、チケットが心配だったのですが何とかプレリザーブで確保できて一安心。ラッキーにも楽日が取れたし。
あとは、見るだけだ!
心のままに、目の前で繰り広げられる芝居を目撃するだけだ!
予備知識は、先行予約ハガキに書いてあるあらすじだけ。
被害者と加害者が数年後に出会う……そしてどうなる?
まず幕が開いて、素朴な疑問。
「ハガキみたいなビジュアルじゃない」
「ピーターって誰よ」
「日本人にしか見えないんですけど?(二人とも)」
どう見ても、どう贔屓目に見ても外国人じゃないんだけど、そこはまあ、エリザやウィーンミュージカルで鍛えてある私の脳内。ここで挫折してはどうしようもないとばかりに、脳内で「この人たちは外人、外人、外人……」と自己暗示をかける。
ふと「ミュージカルなら割とすんなりその世界に入っていけたのになあ」と思ったんですが、多分それは歌があるからですね。歌だってそりゃ日本語に翻訳されたものなんだけど、音楽そのものが輸入物だから脳内でスイッチ切り替えしやすいし、やっぱりミュージカルだと歌うときの仕草も外人っぽくなるし、ビジュアル面では衣装も大きいかなあ、うん。今回の舞台、セットも衣装もほんっとに日本と外国の区分けが無かったですからね……
まあとにかく、ひたすら会話、会話、会話オンリー! の二人芝居で、効果音も音楽もまったくない。話の流れは一応つかめるものの、起承転結がどこなのかまったく分からない。どこでハラハラすればいいのか、どこでオチを確認すればいいのかも分からない。
正直なところ、中盤あたりで眠気が襲ってきました。
なんか、起伏がないんですよねえ……メリハリがないと言うのかな。過剰演出は好きじゃないけど、ここまで演出がない(ように見える)っていうのも困る。
15年前だか10年前だかに、レイが幼女だったウーナと××なことをしちゃってお縄になった、というのは分かった。名前を変えて違う人生を生きているレイの前に現れたウーナは、男と遊び回っていたらしい。83人?
レイとウーナは単なる被害者と加害者ではなく、レイはウーナの寂しさを理解していた……幼女の寂しさを理解したからと言って、セックスして許される訳じゃなかろうとは思うが……
レイは忘れたい、もう今は普通に暮らしているのだから蒸し返されたくない、ウーナと再会したあとも何とか出て行ってもらいたい、という心情がありありと見える。
しかしウーナは忘れなかった、今までの感情を吐き出したい気持ちでいっぱい。そして、吐き出したあとに「何か」が起こることを待っている?
後半、感情が昂ぶってきた二人はついに「(私で)マスターベーションした? (それで)いった?」などとデンジャラスな雰囲気になり、そのまま寝台遊戯に突入ー!
ギャーッ、ストレートプレイ初体験でこれは刺激が強すぎる! と思いつつ、アラレもない恰好になりドタバタしている舞台上を見つめているしかない。
すると、レイが突然「だめだ、出来ない!」だと。
当然、観客にはここで「……?」と疑惑が持ち上がってくる。それを代弁するようにウーナが言う。
「(今の私は)大人になりすぎた?」
レイってもしかして、あの……筋金入りの……ロリ……?
そこへ、「ピーター」が今つきあっている彼女がやって来る。彼女がいることは冒頭から触れられていたけれど、登場するとは思わなかった。最初は呼び声だけ……
「ピーター?」
ドアを開けて現れた彼女……
それは、もしかして15年前のウーナの姿だったのかもしれない。
ウーナの愕然とした表情、恐怖に怯えているような表情。それも知らずに無邪気な「彼女」はピーターに抱きついて離れない。言い訳するレイはもはや冷静ではない。
うわあ、ガチロリ!
彼女が登場した瞬間、私もウーナと同じように呆然としちゃいましたね。
こいつ真性のロリなのねー! と心中で叫んじまった……
病気だから治らないのねー!
会話から鑑みるに、幼女のお母さん=ピーターの彼女なんでしょうけど、ピーターと言うかレイはその娘である幼女の方に気を取られている……っていうか、「手を出したら15年前の二の舞。ヤバい、踏み止まらなければ」というギリギリの状態なのだろうか。とにかく、ピーターに抱きつく幼女には「女」の部分がかなりハッキリ感じられた。無意識だとすると恐ろしいものがある。
最後は、逃げるように去るレイを追いかけるウーナ、という場面で終わったんですが……
ウーナが追いかけても、レイはもう15年前のレイには戻らない。幼女だかその母だか、どっちだか知らないがとにかく今のレイには女がいて、仕事を得て、普通に暮らしている。ウーナがレイを求めても、もう二度と元に戻らないと私は思う。
もうとにかく、終わったという実感がないまま拍手が起こったので、「これで終わりなの!?」という感想しか出て来なかった。確かにまあ、一応オチのようなものはあった……あったけれど、あまりにも曖昧な、あっけないラストシーンに呆然。
レイとウーナ、どちらかに感情移入していればまた違ったのかもしれないけど……そこまで行く前に終わってしまった、というのが本当のところ。
こうして、終わってから考えてみれば、ウーナはレイを忘れられなくてずっと探していたのかなあ……とか、幼女のくせに自分を誘拐した男に本気になったのかよ、とか、レイの犯行(?)動機が今ひとつ理解できなかったりで、こういう場合はやっぱり、何よりもオリジナル版が見たいなと思う。
2001年以降、見る舞台すべてがミュージカルだったので、歌わない内野さんというのは新鮮でした。ウーナ役の伊藤さんは、脚線美ではあったけれど演技面ではちょっと……まだこなれていないのかなあ、という気がした。キャリアはそこそこあるらしいんだけど。もっとも、内野さんもバリバリに舞台仕様の演技だったので、ある種のクドさという意味では合ってはいましたが。
あれぐらいじゃないと観客には伝わらないのかなあ?
カーテンコールも実にあっさりとしたもので、ミュージカルの楽日のような挨拶もないし、やっぱり最後まで音楽もない。多分四回ぐらいは出て来てくれたはずですが、ウーナと幼女がレイを取り合っているのは笑った。(ということは、やっぱり解釈としては合ってるのかな)
レイも、ウーナじゃなくて幼女の方に行ってるし(笑)。最後はレイが幼女を抱き上げて出て来た。ところで、幼女幼女と言っていますが、この第三の出演者は(苗字忘れたけど)なんと「モーツァルト!」のアマデをやってた女の子なのですよ。ともよちゃん。
しかも、偶然にも去年私がハマった「Sound
Horizon」というグループのコンサート「Moira」で、ヒロイン・ミーシャの少女時代を演じた子でもあったのです。私はアルバムを聞いただけで実際舞台では見ていないんですが、とにかく少女ミーシャの演技力がすごいっていうのは聞いていたので……偶然って恐ろしい。
◆今日は何も買いませんでした◆
パンフレットは¥1500だったけど、なんか写真ばっかりのように見えたので、まあいいか……と。もしかしてパンフにはもう少し詳しい設定とか心情とか書いてるのかな、と後からちょっと後悔しましたが。
あとのグッズは楽日ということもあってほとんど売り切れてやんの。ポスターとパンフしか残っていませんでした。
あ、内野さんのDVD……何だったっけ、ペリクリーズかな? メタルマクベスだったかな? あとエリザのライブ盤は売り切れてました。
終演後トイレに行った時、「BLACK BIRD」というロゴの入ったトートバッグを持っている人を発見したので、それも売っていたんでしょうね。
テレ朝スタッフからのお花が飾られていました。ゴンゾウ+臨場スタッフでしょうね。
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