さて、いよいよ内野聖陽トートの2004年エリザ楽日です。
今年のライブ盤が本日から発売されるということもあって、早めに会場へ。
さすがに今日は、地元人だけでなく遠征組も多いのか、梅コマ前は異様な雰囲気が……!
チケットは完売。私は2001年再演の梅コマ以来、内野さん楽日観劇です。
前回は単に「大阪の楽日」というだけだったのですが、今回は特別ですよ!
何と言っても「今年の(内野さん)千秋楽日」なのですから。
そう、お祭りの日なのです。
今日で見納めなのは悲しいけれど、始まりがあれば必ず終わりが訪れるもの。飛躍的な進歩をとげた内野トートに感謝しつつ、来年の帝劇(また東京オンリー……! いいかげんにしろ!)エリザに出演されることを願っています。
エリザベート 12/11(土)17:00開演
◆Wキャスト◆
トート/内野聖陽
フランツ・ヨーゼフ/鈴木綜馬
ルドルフ/浦井健治 |
すべての歌声、セリフ。仕草、目線、手つきを網膜に焼き付けるように……
これでまた、当分トートには会えないのだから……
しかし、私が内野ファンだからと言って他キャストはどうでもいい、というわけではありません。もちろん。
それどころか、この作品のおかげで多少なりともミュージカルの素晴らしさに開眼したのだからすべてのキャストに感謝したいぐらいです。しかし、山口トートを未だ一回も観られていない……(財布には上限があるので……)
まず始まりは「エリザベート」という作品そのもの。
その音楽の素晴らしさ。宮廷劇という華やかさの反面で時代背景は暗く、主人公がこともあろうに「死」と愛し合って終わるという退廃的な物語にも関わらず、観たあとは鬱になるどころか元気になる。
メロディとアンサンブルの素晴らしさに鳥肌が立ち、プリンシパルたちの演技・歌に身震いがするのです。
アンサンブルで(特に)好きな曲は「プロローグ(我ら息絶えし者ども)」「不幸の始まり」「ミルク」「HASS!(憎しみ)」。特に「HASS!」はメロディなしのドラムアンサンブルで、内容はとんでもないけれど(ドイツ民族主義〜プロイセンとの同盟〜ナチス・ドイツ万歳)ダンスもセリフも、集団ならではの迫力があって好きです。
一部ではエリザ×トートの掛け合いよりも受けがいい(と言うか、曲が素晴らしいからだと思うけど)ルドルフとのデュエット・「闇が広がる」の前ということもあるので、ここの辺りになるともう、胸がドキドキ。
もうすぐトートが、ポールをスルスル伝って降りてくるわぁ! サルのように……いやいや、内野トートにそれはあり得ない。あくまで華麗に、冷酷にルドルフを死へ誘う誘惑者。
ラスト「夜のボート」へ来ると、ついに理解しあえないまま終わるエリザベートとフランツ・ヨーゼフの歌に涙し、怒涛の「悪夢」〜「エピローグ」へと流れて行きます。
作品中、トートとフランツ・ヨーゼフが唯一対峙するこの場面。
「すべての不幸はおまえがエリザベートを選んだ時から始まった」
フランツ・ヨーゼフ「これは悪夢か!?」
トート「正夢になった! おまえが招いたんだ!」
フランツ・ヨーゼフ「皇后の姿がない!」
トート「エリザベート(ここのうっちーの「エリザベィト」っていう発音が好きさ!)は私のもの、彼女は俺を愛している!」
フランツ・ヨーゼフ「彼女は我が妻、私が自由を与えた」
トート「自由を与えられるのは俺だけだ、それはこれ(ナイフ)だ! ルキーニ、早く取りに来い!」
↑このナイフを取り出す場面で、ナイフにキスをするトートはエロすぎます。
……そして「プロローグ」の、ルキーニ裁判劇へと戻り……
死者たちの見ている前でルキーニ(結果的にトートの使者となる)がエリザベートを刺す。
ついに最後の場面。
もう抵抗するのはやめろ、人間には必ず死がやって来るのだから――と言っているようなトートの歌声に導かれ、純白の衣裳のエリザベートが「連れていって……」と彼の胸に身を預ける。
前回(2000〜2001)までは、この場面で内野トートは恋の成就感を強く表現していたのですが、今回は「やっと抗うのをやめたんだな? 私を愛していると認めるんだな?」という傲慢さを強調していたように思えます。ようやく恋が成就した歓喜、と言うよりは「こうなって当然だ」という感じ。「死」という、人間には逆らうことのできない運命の傲慢さとでも言うのか。
そしてトートは愛しいエリザベートに口づけするが、それは彼女を「黄泉の世界」へ誘う口づけだった……
永遠の眠りについたエリザベートはトートによって棺に横たえさせられ、「プロローグ」登場と同じように棺で退場していく。
トートはそれを見守り、グランド・アモーレ(偉大なる愛)を見届けたルキーニも、百年の責め苦からついに解放されて死んで行くのだった……
……こんな暗いミュージカルを観て、なんで元気になるの? と言う方もいらっしゃると思います。でも不思議なことに元気になるのです。音楽が力であるということを実感できる作品です。
それに、エリザベートは確かに「死ぬ」のですが、それは同時にトート(死)との愛の成就ということでもあるので、ある意味ハッピーエンドと言えないことも……ない?
ああ、こんな素晴らしい作品に出会えて私は本当に幸せです。
……と、感無量でウルウルしていたら、カテコで登場したのですよ!
私にとってのミュージカル開眼の神が!
そう、それは
ミヒャエル・クンツェ(脚本)
シルヴェスター・リーヴァイ(作曲)
のお二人!!!!!
はるばるオーストリアから大阪まで来て下さったのねぇ〜うおおおおおぉぉぉ〜と大感激!!
リーヴァイさんが日本語で「とても素晴らしかった」と言ってくれたのが嬉しかったですねー。クンツェさんのドイツ語、わかる単語もあるがとても理解するまでには行かない。でもお二人が感激されているのがよくわかる舞台挨拶で、こちらも嬉しくなってしまいました。
何でも、「キッチュ」などは本国より日本版の方が盛り上がりがすごいそうで、最後のルキーニによる手拍子を気に入ったらしいリーヴァイさんが、カテコでその真似をしてて可愛かったです。
「今日は私の小さい息子の楽日で、大阪公演を一人でがんばってくれました」とシシィ一路さんの挨拶のあと、もう泣いちゃってるちびルド君が挨拶。場内割れんばかりの拍手。
そして一路さんいわく「舞台に上がると温度が2℃ほど上昇するほどエネルギッシュなこの方を……」と、内野さんを舞台センターに。
トートの衣裳のままの素顔の内野さん(ツボ!)が照れながら、
「えー……『何か一言』……のないように演じました」(拍手の嵐)。
「素晴らしい作品に出会わせてくれたミュージカルの神様に感謝します」と挨拶。
感謝するのはこっちだよーと、手が痛くなるほど拍手で応えました。
最後はクンツェ/リーヴァイ両氏と一路エリザ・ちびルド・内野トートが並んでカテコ。
そして一路エリザと内野トートの熱いハグ!
長い期間をともに戦った戦友同士という感じで、涙涙というのではなくとても清々しいお二人でした。
最後は内野さんが一路エリザに取り残され、キョロキョロしつつ何度も投げキッスをしてくれました。
カテコ、今日いったい何度あったんだろう……? もう興奮状態だったので数えられませんでした。
それほど素敵なカーテンコールでした。
01年楽日では「皆様、愛しています」という悩殺挨拶があったわけですが、今年は彼の役者としての真摯なコメントが聞けたので、それも嬉しかったです。まあ内野さんは、常に真摯な人ですが。
今日は「最後のダンス」や「ミルク」「闇が広がる」など、ショーストップも多かったですね。
そうそう、前回気付いたことなんですが「皇帝の義務」のあと、ゾフィーを追いかけるフランツという場面があるのですが(お見合いのためバート・イシュルへ)、石川フランツは割と悠然と母のあとに歩いていったのに対して、鈴木フランツは目に見えて「え!? お見合い!? ええ!?」みたいな感じで、焦ってゾフィーのあとを追いかけて走って行くのです。あれ、可愛かった。
他キャストについて色々言いたいことはあるのですが、きりがないのでやめときます。
今回から参加の村井国夫マックスはいい声でしたね、さすがに!
初風さん(ゾフィー)との掛け合いも良かった。村井さんがヅカオタクって本当なのかしら?
(初風さんは言うまでもないが、初代ベルばらでアントワネットを演じた大娘役)
あ、これだけは書かせて下さい。お詫びの意味もこめて。
↓
浦井ルドルフがすごい良かった!
特撮出身? ハア?……なんてナメててごめんなさい!
君とうっちーとの「闇が広がる」は歴代最高でした!(って、比較の対象は井上ルドだけなんだけど)
はあ……本当に満足です。
来年の帝劇は悔しいけど行けないと思うので、切実に「今度大阪に来るときもトートをやってくれ!」と願っています。次回はなんと大出世した井上ルドが帰ってくるらしいですね。(?)
ということは、ルドルフは今回の浦井/パクに加えて井上……トリプルキャストになるのかな? えらい豪華ですな。私はパクルドは結局観られなかった……残念。
個人的に、あまりいいこともなく、試練だらけで凹みまくっていた2004年でしたが、最後の最後にこんな素晴らしい舞台を観賞できたことは疑いもなく幸せなことでした。
電飾以外の演出変更は私の好みでしたので、小池さんには電飾について再考を願います。
そう言えば、小池さんは翌日の大楽にはいらっしゃったそうですね。
皆さん、長丁場の全国巡業、本当にお疲れ様でした。
また会える日を楽しみにしています。
◆今日買ったもの◆
2004東宝エリザベート/ライブハイライトCD(内野盤)¥2800
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